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集団性の高い第一種農地に分類されると、転用はまず認められません。 |
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さて、いよいよ「農地法のおさらい」も最終回です。農地に家は建てられない、しかし日照条件を考えると農地は有利、そこに家を建てるには農地法の5条申請で農地を農地以外のものにする手続きが必要、と前回のこのコーナーで説明しました。地目は田や畑であっても、耕作放棄したような農地なら地目変更できる可能性があるのです。特に広い農地を管理するため一部を宅地に変えたい、という人には有効な方法といえます。
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山林・原野でも農振に該当する場合があるので要注意。
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ただ、すべての農地が地目変更できるわけではありません。農地には第一種農地、第二種農地、第三種農地、その他の農地があり、ほとんど認められるのが第三種農地。第二種とその他は立地によって異なり、第一種は原則として認められません。第一種はおおむね20ヘクタール以上の集団性の高い農地などを指し、それが分断されることは望ましくないからです。第三種は「市街地の区域内または市街化の傾向が著しい区域内の農地」と定義されており、農地保全よりも市街化を優先するエリアにある農地を指します。第二種は「市街化の区域内または市街化の傾向が著しい区域に近接する区域、市街化が見込まれる区域内にある農地」という定義ですが、その土地でないと事業の目的が達せられないと認められれば原則的に農地転用は認められます(その他の農地も同様)。
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農振除外ができれば、農地転用後に家を建てられます。 |
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もっとも、都会の人が気にすべきは第一種〜第三種よりもむしろ農振法でしょう。正式名称は「農業振興地域の整備に関する法律」といいますが、この法律では補助金を使って整備された農地やこれから農業を振興しようとする農地等が農用地(=農振)に指定され、農地以外への転用が認められません。ここで「農地」ではなく「農地等」と記したのは、山林や原野が農振に指定されている場合もあるからです。購入したのが山林や原野なら面倒な法律は関係ないと思いがちですが、そうともいい切れないのです。田畑や山林を農振法の適用から外すには、自治体に農用地利用計画変更申出書を提出します。ただし、集団性が高い農地の一部分などは除外になりません。一部は農振の除外が可能ですが、手続きに最低でも半年くらいかかります。また、許可が出ても、宅地化にはさらに五条申請が必要。農振地域の土地は農業の助成を受けやすいというメリットもありますが、農地転用に関しては注意が必要です。
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