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市販品を買ったり業者に頼むのではなく、自分で作れば何でも楽しい! このコーナーでは家のセルフビルドから小物の製作まで、田舎暮らしのふさわしい手作りの事例を紹介していきます。田舎暮らしを楽しむための参考になさってください。 |
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第1回 小林功弥さん・孝枝さんご夫妻による「家のセルフビルド」〜(その1 土蔵の改造から住宅の構想まで)
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小林さんが仮住まいしている土蔵。ここがいろんな実験の場にもなっている。
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新コーナーはまず、いちばん大がかりな家のセルフビルドをシリーズで取り上げます。三春町に移住した小林さんご夫妻がユニークな住宅を建築中なので、現在までの様子を3回、その後も進行状況を追います。また、小林さんの家だけでなく、小物の製作事例も紹介していく予定です。
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土蔵の内部。ゴミを片付け、住めるように改修工事から始めた。 |
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●●いま土蔵に仮住まいされているわけですね。2.5×3.5間だから1階だけで17.5畳、2階も含めて35坪。広いですね。
夫「ここで充分だから家を建てなくていい、という友人もいるんですよ(笑)。購入した約1500坪の土地にも土蔵はあるんですけど、地主が年1万円で貸してくれたんです。住み始めて今年で4年目。外の景色が見えないし、陽もあまり入らないけど、そこそこ快適です」
妻「住む前はゴミだらけで、床もベコベコでした。夫の実家が仙台なので、そこから毎日2時間半かけて通い、丸1ヶ月で直したんですよ。はじめは鼻が真っ黒になりました」
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調理に活用しているストーブ。右のりんご箱はスーパーでいただいたもの。 |
ストーブを利用した湯沸かし器。こういうアイデアが小林さんらしい。 |
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ひょうたんのランプシェード。土蔵とマッチする。
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●●どういう補修をしたんですか。
夫「近くの製材所が機械を貸してくれたので、赤松の生木から自分でオス・メスのある床板を作り、ビス止めしました。畳はもらってきたものだけど、意外ときれい。タンスはここにあったもので、家主が『使いんせえ』と」
妻「この土蔵でいろんな実験をしています。例えば、薪ストーブの熱で湯沸かしをするにはどうしたらいいか、電気を使わずに排気するにはどうしたらいいか、とか。最近はガスなしでも暮らせるような気がしてきました」
夫「蔵は本当にいい教科書になります。ただ、人を冷やすという側面もあって、7月になるとちゃんちゃんこを着ていても熱を取られる。やはり日常的に住む場所ではないんですね」 |
●●お二人はパーマカルチャーが縁で知り合ったとか?
夫「はい。PCCJ(パーマカルチャーセンタージャパン)でともに学んだ仲間でした。パーマカルチャーとは、オーストラリアのビル・モリソンとデビット・ホルムグレンが提唱した農的暮らしの永久デザインのことですが、消費して外に出すという一方方向ではなく、敷地内ですべてを循環させる持続可能な生活をめざすものです」
妻「それをできるだけ自分たちだけの力でやりたい、というのが私たちのテーマ。家を建てて、畑をやって、果樹園もやって、動物も飼うとなると、1500坪はほしい。500万円くらいの予算で抑えるには房総や茨城では無理で、福島しかなかったんですね。本当はもっと民家の少ない山の中でもよかったんだけど、ここは南向きで北と東西に山がある。日当たりを重視して決めたんです」
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「持続可能な生活をデザインしたい」と小林さん。畑も始めている。
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●●セルフビルドする家のコンセプトは?
夫「常識に捕らわれない、創意工夫に満ちた家です。そして環境に配慮した家にしたいですね」
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セルフビルドする家の模型図。建坪は6×3間の18坪だ。
●●ご主人は一級建築士。でも、建築士だから家を建てられるわけではないですよね
夫「その通です。大学の建築学科を出て、都内の建築設計事務所に勤めていました。それはそれでおもしろかったんですけど、一言でいうとノーライフ。仕事だけで生活がないんです。人に空間を提供する人間の生活がすさんでいたのでは本当の豊かさは伝えられないと悩み、思い切って辞めました。パーマカルチャーと出会い、食物も家も自分で作れないようでどうするんだと。それで退職後に職業訓練校に通ったんです。毎日8時から5時まで、カンナやノミなど道具の基本的な使い方を学びました。失業保険を長くもらえるメリットもあったし、技術を身につける意味でもいい機会になりましたね」
●●では、どんな家を建てるのか、次回からじっくり見せていただきます。
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【おまけ】ご馳走になった松芽酒。左は黒糖、右は三温糖を使って発酵させたもの。フルーティで体にもいい。 |
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