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FAX0247−75−2808



 

 


-あははおほほの田舎暮らしを始めるために-
No.62 2007年12月17日

農地法のおさらい(そのA−仮登記)

仮登記を申請するのも法務局。司法書士に代行してもらうのが普通です。


 農地の所有権移転をするには農業委員会に申請して許可を得なければならない、と前回述べました。これが農地法の3条申請ですが、その前提として農地が5反歩以上あること、住民票を移動すること、が求められます。しかし、すべての人がクリアーできるわけではありません。買った物件に畑が3反歩しかないというケースもあります。この場合は近くの農家から不足分を買ったり、借りたりして申請してもかまいません。むしろ問題は住民票です。居住できる小屋があれば申請は可能なのですが、都会で何らかの行政サービスを受けていたり、本気で移住するつもりがなければ、住民票の移動を嫌がる人がいます。法的にも住民票を虚偽の住所へ移転することは禁じられており、やはり書類だけでなく体を移動するのが原則なのです。
 


仮登記で権利保全は可能。週末利用で土づくりを始める手もあります。


 すぐにできないけれど現役を退いたら定住しよう、と考える人もいるでしょう。とりあえず広い農地を取得し、週末利用で土づくりをするケースは少なくありません。週末利用の準備期間中に地域の人たちと仲良くなり、畑のコンディションも整えられるので、定住生活へすんなりと入ることができます。ただし、住民票は都会にあるので、農地の所有権移転はできません。お金を払うのに登記できないのは不安、というときに権利保全を図る方法として仮登記があります。これは上記の手続き要件が満たされた場合、優先的に所有権移転ができることを第三者に明示するもの。上に「仮」が付いているので、弱い権利のように思われるかもしれませんが、そうではありません。登記法では「本登記の順位は仮登記の順位による」とされていますので、たとえ仮登記後に他者の本登記が行われても、買主の本登記を優先することができるのです。
 


10年も放置すれば農地は荒れ放題。所有権だけを望むのは無理があります。
 

 農地を仮登記から本登記に切り換える際、買主が単独で手続きすることはできません。原則として売買主の双方が申請する必要があり、売主は農地法手続きに協力する義務、買主は協力してもらう権利を持っています。ところが、仮登記には10年の時効があります。10年が経過すると、本登記への請求権が消滅してしまうのです。そんなことが起こりうるのか疑問に思う人もいるでしょう。実際、代金をもらったうえに協力しない売主はまずいません。ただ、その売主が亡くなった場合、相続人が簡単に判を押さないケースがあるのです。もしそれが10年の時効を過ぎていれば、法的には買主の立場も微妙になります。だから10年以内に本登記するのが原則なのです。その要件は当社が整えるのではなく、あくまで買主の皆さんです。ぜひご理解いただければと思います。

 

次回は「農地法のおさらい(そのB−5条申請)」というお話

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