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肥培管理していれば、採草地も農地とみなされます。 |
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阿武隈山系の広くて安い土地は農家が手放すため、農地を含んでいるものが少なくありません。農地を取得するには農地法という厳しい法律があり、それに関する問い合わせが当社にたびたび寄せられます。「阿武隈のとびら」でも過去に取りあげましたが、整理する意味でもう一度、その基礎知識を4回(3条申請・仮登記・5条申請・農振法)に渡ってご説明します。その前提となる農地ですが、通常は地目が「田」か「畑」になっているものを指します。法律では採草放牧地も対象になりますが、山林や原野で農地とみなされるのは農振指定地の場合がほとんどです。実際は整地、播種、灌漑、施肥、除草などの肥培管理しているかどうかがポイントになります。
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果樹園も立派な農地。農地法の対象になります。
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「農地法をクリアーしないと農地は買えない」とは常識的に使われるフレーズですが、「農地法をクリアーしないと農地の所有権移転ができない」が正確な表現です。所有権にこだわらなければ当事者間の売買は成立しますし、仮登記という方法もあります。つまり、誰から見てもこの農地は私のものだと第三者に公言するには、農地法第3条をクリアーしなければならないわけです。これは農地の権利移転(借地権を含む)について定めた条文で、地元の農業委員会の許可が必要になります。農地は地域との関わりが深いので、地元で農地の運営を協議する機関が設けられているのです。その人たちがOKしないと、所有権移転は認められません。よく行政機関と勘違いされるのですが、農業委員は地元農家から選ばれた人で、役場内にあるのは事務局です。
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農地を所有権移転するには5反歩=1500坪以上必要です。
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農地法の3条申請をするには、@農地と同じまたは近接する市町村に住んでいること、A農地が5反歩以上あること、が前提です。@は単に住んでいるだけでなく、住民票を移動することが求められます。これが現役世代の都会人にとっては大きな関門になるわけですが、別荘利用で農地所有は認められません。Aは地方によっても異なりますが(北海道は2町歩、一部の地域は1反歩以上)、多くは5反歩以上です。もし購入する農地が5反歩に満たない場合は、近くの農地を買い増しまたは借り増しして申請してもかまいません。3条申請の際は、営農計画書を提出する必要があります。どういう農業をやるのか、借り入れはどうするのか、など詳細な記述が求められます。素人には手続きが難しいので、行政書士に代行してもらう手があります。なお、3条申請の要件を満たさない場合は仮登記で権利保全する方法があります。これは次回にご説明します。
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