食べても美味しい「クルミ」
夏に大きくなるクルミの果実。見た目にかわいいです。
地方出身者なら子どもの頃に野山でクルミを拾い、金槌で割って食べたという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。英語でウォールナッツというように、栗やアーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、とちの実、銀杏、松の実、ココナッツなどと同じ堅果(ナッツ)の仲間です。木に成るのは青い実ですが、その中にある殻の堅い種子が食用となります。
樹皮は灰褐色。縦に裂け目ができています。
その樹木ですが、北海道から九州までの温帯に広く分布しています。高さ20m以上にも達する落葉高木で、どっしりとした樹木です。樹皮は灰褐色で平滑ですが、年輪を重ねることで暗褐色となり、縦に裂け目が出てきます。楕円形の葉は大きく、羽状複葉で軟毛が生えています。陽の当たる場所を好み、成長が早いのも特徴です。クルミの名の由来は黒い実、くるくる転がる実、中国の呉からきた実、また山地の川沿いに自生するオニグルミは核の表面が凸凹で醜い、中国の鬼胡桃をそのまま日本語読みした、などの説があります。6月頃に開花し、秋になると果実が熟します。
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葉は楕円形。雌雄同株の落葉高木です。 |
雨や風で落下した実は、自然に果肉が剥がれて拾いやすくなります。もっとも、実を取り出すのは容易でなく、力任せはケガのもと。きれいに割るには堅い殻のまま一晩水に浸け、網やストーブの上で焼きます。先端に隙間ができたら火から下ろし、隙間にナイフを差し込みます。すると簡単にこじ開けられるはずです。殻を工芸品などに使う場合は、接着剤ですぐに復元できます。また、クルミの材木は強くてくるいが少なく、美しい木目を有しています。そのため家具、器具、下駄、彫刻など幅広く使われ、昔は銃床用としても多量に伐採されたようです。昔に比べるとかなり量が減っている樹木です。
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お馴染みのクルミ。食べるだけでなく、こういう風に使っている人も。 |
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