No.14
2002年7月10日
農地の仮登記って何?
契約通りにお金を払えば自分のものになる・・・・これが世間の常識です。ところが、農地はそうとは限りません。「その11」で詳しく説明しましたが、農地が5反歩以上あり、住民票を移してそこに住まないと、売買契約が成立しても農業委員会が農地の所有権移転を認めてくれないのです。つまり、買い手の条件が問われます。ただ、都会の人にもいろいろ事情があります。例えば、まだ定年まで間があって住民票を移せない、都会に子どもがいるから別荘利用しかできない・・・etc。そういう人は農地を購入できないのでしょうか。表現は難しくなりますが、農地取得はできても所有権移転はできないことになります。
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お金を払って所有権移転できないなんてお金をドブに捨てるようなもの、と考える人もいるでしょう。しかし、農地の本登記ができない場合は仮登記をするのが普通で、将来的に住民票を移した場合などに優先的に本登記できることになっています。ただ、10年時効の問題などもあり、仮登記すれば絶対に安心というわけではありません。ですから、農地はやはり前向きに農業に取り組む人に取得してもらいたいのです。農業も「業」ですから、出荷して農収入を得ることが前提となります。実際のところ農業で食べていくのは大変な時代ですが、今回はそのヒントになる施設をご紹介しましょう。 |
今回の写真は3枚とも「気まま工房」のもの。7月6日は青梅、赤シソ、ラッキョウなどが並んでいた |
都路村の国道288号線沿いに昨年6月、「気まま工房」という村内2つ目の直売所がオープンしました。新鮮で美味しい野菜が50円、100円という安さで並んでいること、夏場は畑でラッキョウやジャガイモなど収穫物を客自らが土から掘り返して買えること、野菜・山菜・キノコなどの食材だけでなく糸のこ工芸品や木酢液など品数が多いことが受けて、ファンが急増。今年は前年の3倍以上も売り上げが伸びていると言います。 |
こんな大きな白菜だって1個100円です |
事務局は地元農家の佐藤正幸さん(左)と富岡さん(右)が担当。店は国道288号線沿いの都路村新田にある
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開店は土日・祝日の9−5時で、登録した約40人が自慢の産品や作品を持ち込んでいます。「路線バスの乗客に、『気まま工房はいいよ』と運転手が宣伝してくれるの(笑)。ここは何も買わなくていいからお茶でも飲んでけーという雰囲気だから、それで人気が出たみたいですね」と話す事務局の富岡信夫さんも移住者の1人。まだ移住者の登録は数えるほどですが、これと産直、契約栽培などを組み合わせれば農業収入を得る道筋も見えてくるはずです。阿武隈山系に来たら、ぜひ「気まま工房」に立ち寄って地元農家と直接コミュニケーションしてみてください。そして、村の活性化のために1個100円の白菜だけでもけっこうですので、お買い求めいただければ幸いです。(Y) |
次回は「物件の詳しい住所を教えない理由」というお話
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