No.11
2002年5月15日
プロの農家になるために必要な条件
阿武隈山系でも田植えが始まった。品種は「ひとめぼれ」と「ハツボシ」が多い。
都路村はいま、田植えの真っ最中です。この冬は雪が少なく、用水不足が懸念されましたが、GW明けから恵みの雨が降り出し、例年よりやや早い田植えとなりました。阿武隈山系は会津と違って積雪量こそ東京よりちょっと多い程度ですが、暖かな春を通り過ぎて5月になると、寒の戻りがあります。少し肌寒い日が続いていますが、夏から秋の収穫をめざして地域全体が動き始めています。
前回の本欄で、自給自足に必要な畑は1家族で1反=300坪が目安だと書きました。では、農家になる場合はどれくらいの面積が必要でしょうか。これは農地法の第3条で通常は5反歩以上と決められており、新規就農の場合はさらに住民票を移して定住することが最低条件とされています。この2つが就農の最低条件となりますので、農家をめざす人は覚えておいてください。
よく5反歩以上の農地がついた古民家はないかという問い合わせがくるのですが、これは離農した農家丸ごとの物件を意味します。阿武隈山系でも戦後の開拓農家はたまに出てきますが、会津と違って古民家は多くありません。新規就農者は農地を確保して家を建てる方法が一般的ですが、すぐに建築計画が立てられない人もいます。そこで、当社では8畳・65万円(税込)の小屋のプランを用意。本建築までの仮小屋、住宅建築後は道具や漬け物置場になるもので、小屋とは思えない美しい外観で好評を得ています。最終的には本建築が必要ですが、別途工事で内装を施せば小屋に住民票を移せる可能性もあります。
当社が土地購入者に斡旋している65万円の小屋。大好評です。
次回は農地法の解釈については触れようと思っていますが、農地を求める都会の人に1つだけ明白にしておかなければならないことがあります。それは農業で食べていくのはきわめて難しい、ということです。本村には過去10数年で新たに10名以上が就農しましたが、残っているのはその半分以下。農業収入(粗収入)も150万円以下が大半です。就農目的で農地を求めるお客さんに対して、当社では「よほどの技術がないと農業では食べていけませんよ」とはっきり申し上げるようにしています。(Y)
次回は「農地法に対する当社の方針」というお話
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