No.10
2002年4月30日
自給自足に畑はどれくらい必要か
色とりどりの花に包まれた農家の庭先。都路村は今、春本番だ。
都路村は今、春満開です。農家の庭先にはチューリップ、パンジー、水仙などの花が咲き乱れ、ピンク、赤、紫、白・・・と色も目に鮮やかです。また、渓谷沿いの木々も新緑に包まれてきました。今年のGWはほぼ天候に恵まれそうなので、阿武隈山系を訪れた人は自然の中で爽やかな空気を感じることができるでしょう。
この地域の田植えは5月中旬以降ですが、畑の種蒔きはもう始まっています。ダイコン、ほうれん草、トウモロコシなど、収穫が待ち遠しくなります。田舎暮らしの楽しみの1つは自分で野菜を作ったり、ご近所同士で野菜を交換することですが、一部の都会の人は野菜を自給するのにお金がかからないと考えているようです。これは完全な誤解で、しっかりとした野菜を作るには肥料や資材にお金がかかりますし、農家が仕入れる種も決して安いものではありません。実際、スーパーで野菜を買ったほうが安いくらいなのです。それでも農家や移住者が自分で作るのは、そのほうがはるかに美味しいからです。
みんなで作業するのも田舎暮らしの楽しみ。いい畑は土が黒くふわふわとしている。
阿武隈山系では安い農地を求めてくる都会の人も多いのですが、最近は「自給自足のために最低7反歩の畑がほしい」といった希望も寄せられるようになりました。本でいろいろ勉強しているのだと思いますが、そういう人は畑のことをどれくらいわかっているのでしょうか。都路村の移住者で自給率がA級のTさんは、有機栽培で約3反の畑を耕しています。米以外はほとんど自給できている状態で、野菜は30種類以上作っています。
「天候などで3分の1は失敗するし、少し余分に作りたいという気持ちもある。だから3反になるだけで、本当は1反(=300坪)で充分なんですよ。1反あれば子どもや友人に宅急便で野菜を配れるし、味噌の原料となる大豆も自給できます」とTさんは話します。
ここの畑は黒く、落ち葉やおが屑で作った大量の堆肥を10年かけて畑に入れてきたので土がふわふわとしています。ここまで土づくりにこだわってきた移住者は、都路村でもそういません。プロの農家をめざすならともかく、自給のための畑は通常1反以下、経験を積んだ人で1000坪前後というのが1つの目安でしょう。(Y)
次回は「プロの農家になるために必要な条件」というお話
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