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-あははおほほの田舎暮らしを始めるために-
No.8
2002年3月11日
土地代が0円でも建築前にこれだけかかる
高木に黄色く色づいた「満作」の花
こんなはずはねえと首を傾げているうちに、気がついたら都路村には満作(まんさく)の花が咲いていました。
樹皮に粘りがあることから中部地方では屋根材の結束にも使われる高木で、枝先に黄色い花を咲かせます。その名前の由来は東北弁の「まんず咲く」。村落に完全なる春を告げる花なのです。
雪が30cm以上積もり、−10℃を何度か記録した昨冬、80歳のお婆ちゃんは「オラ、こんなひどい冬は生まれて初めてだ」と言いました。そして今冬、同じお婆ちゃんが漏らしたのは「こんな温い冬は初めてだ」という言葉。私たちは村民は、2年連続で歴史的な異常気象を経験してしまったのかもしれません。
歴史的といえば、日本の不況も歴史的な長丁場になっているわけですが、最近の報道では株価の上昇など明るい兆しも見え始めてきました。344万人という失業者の多さを考えると、少しでも良い方向に転換してほしいと願わずにはいられません。同時に、農村の地元業者として、地元相場に近い物件を提供し続けていく使命も感じています。
ただ、都会の人には農村の土地が安い理由も知っておいてほしいと思います。
1つには相場の変動が公共工事など地元経済に大きな支障をきたすからであり、もう1つは田舎の売地の大部分が未造成地だからです。
今回は後者に話を搾りますが、たとえ土地代が0円としても、そこにそのまま家が建てられるわけではないのです。最近の例でご説明します。
Aさんは公道沿いの緩傾斜地を購入しました。当社が提示した造成費の見積もりは約150坪の平地造成80万円、ボーリング代80万円、進入路の砂利代10万円の計170万円。
これは工事しやすい土地で、工事費が安いケースです。ボーリングは掘削深度1m当たり2万円(使用時には別途にモーター代約25万円も必要)、平地造成は動かす土量1立方m当たり700円+諸経費、または重機代(バックホー使用の場合で1日3万5000円+搬送費+燃料費)+一般土工代+諸経費で見積もりを出します。
Aさんの土地を造成したところ、平地面積は約40×15m=600平方m=約180坪になりました。Aさんはもう少し広げて250坪にならないかと希望されたのですが、当社は「畑が別にあるので平地は180坪で充分。もし250坪に広げたらあと100万円くらいかかります」とお答えしました。
なぜ100万円もかかるのでしょうか。
平地造成は傾斜地を切って反対側に盛る盛土・切土(図の@参照)という工法で行いますが、この土地は緩傾斜地の奥の勾配が急で、切土を広げると土量が急増して地盤も高くなるため(図のA参照)、結果的に大工事になってしまうのです。
これは一例に過ぎませんが、田舎の土地を使うには、ある程度の造成費が必要になってきます。300万円の土地に700万円の家を建てて1000万円というような単純計算は成り立たないのです。(Y)
次回は「古家の補修費は意外に高い」というお話 |
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