No.4
2001年 冬
田舎暮らしと自己責任について
写真-ゴミ清掃活動の現場。村民はこうして自らの生活環境を守っているのです。
12月初旬、都路村でゴミ清掃の奉仕活動が行われました。村内の山中にゴミが不法投棄され、その撤去作業をするボランティアを募集したところ多数の村民が集まったのです。10数年にわたって捨てられ、山肌に堆積したゴミの量は半端なものではなく、50名以上の村民が半日がかりで掘り起こしても全体の約6割しか収集できません。ゴミの量だけでなく、中身にも驚きました。自転車、建築廃材、果てはプロパンのガスボンベや耕耘機までゴロゴロと出てくるではありませんか。
「いやー、人間以外は何でも出てくっど(笑)。でも、都路村民だけでこらほどのゴミにはなんねえ。一部はよそのゴミだばい」とある参加者は話します。何気なく捨ててきた村民にも責任はありますが、そこに住む人たちは自ら生活環境を守っていかなければなりません。これが地域社会の基本原則なのです。
写真-移住者が阿武隈の素材で作ったクリスマス・リース。こういう文化的活動も盛んです
ところが、都会から移住した人の中には、残念ながらそれを理解できない人もいます。ごく一部ですが、何でも行政任せ、業者任せという人がいるのです。
「税金を納めているから役場が荒れた私道を直すのは当然だ」と主張したり、移住して5年以上になるのに「アンテナの調子がおかしいから電気屋を手配してほしい」「煙突掃除ができないから何とかしてほしい」と電話をかけてきたりします。
過疎地の財源は限られていますし、田舎では自ら積極的に体を動かすことも求められます。つまり、田舎暮らしには自己責任も必要なのです。
また、物件の購入段階で「最後の財産を使うのだから騙さないでくださいね」と念を押す人がいます。お気持ちはよくわかりますが、5度も10度も同じセリフを聞かされると「泥棒と取り引きするような感覚なんだろうか」と悲しい気持ちになってきます。
私たちは免許を持った宅建業者ですので、契約の履行については責任を持ってやります。それ以外は話し合いになりますが、「大金を払ったんだからあれもこれもサービスしろ」という人には、ご要望に添えないケースも出てきます。のちのちのトラブルを考えれば、「うちで買ってくれたら何でもサービスしますよ」と甘い言葉を囁く不動産業者と取り引きするほうが、むしろ危険ではないでしょうか。(Y)
次回は「中通りと浜通りの違い」というお話
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