No.3
2001年初冬(12月14日)
『リストラされたから田舎暮らし』は正しいか
写真:有機肥料・低農薬米を手がける菅野さん夫婦
阿武隈山系は川の水温が低いせいか、会津に比べて米の味はやや自信がないのですが、今秋は実に美味い新米を食べました。都路村の隣にある葛尾(かつらお)村の稲作農家・菅野(かんの)晃明さんが栽培している
有機肥料使用の低農薬米です。土づくりを徹底し、堆肥、生わらなどの有機質を主体にした自然肥料を使っており、米にうるさい知人に送ったところ、「これは冷や飯でも美味いからいい米だ」と喜ばれました。菅野さん(自宅0240-29-2506)では直売も受け付けているので、食べてみたい方は直接ご注文ください。価格は5kg当たり1650円(送料別)で、「あきたこまち」と「ひとめぼれ」の2種類があります。
さて、日本の失業者は350万人を超え、アメリカの失業率も5.7%に達するなど、暗いニュースが世界を覆っています。私たちのもとにも「リストラされたから生活費の安い田舎に住みたい」「田舎物件と職場の両方を探している」といった問い合わせがポツポツ寄せられるようになりました。昨年までは「ぜいたくを言わなければ土木などの仕事はありますけど」と言えたのですが、周知の通り公共事業も削減の方向に動いており、農村の雇用情勢は一段と厳しさを増しています。過疎地はもともと職場が少ないうえに、中小工場の閉鎖も相次いでおり、移住者の仕事までは見つけにくいのが現状です。
写真:都路ではシイタケ原木の搬出も大切な仕事です
実は今年、こんな事例がありました。当社の物件を申し込まれた40代の方が、契約段階になって急にローンを組みたいと言い始めました。よく話を聞いてみると、リストラされて貯蓄も少ないのだとか。結局、銀行の審査をパスせず、田舎暮らしを断念されました。ご本人には気の毒ですが、貯蓄なし、返済手段なしという人に銀行が融資するわけがありません。保証人がいればアパートは借りられるはずなので、どうしても都会を離れたいのなら、行政のU・Iターン窓口を訪ねたり、地方都市のアパートを借りて職場を探すのが正しいステップではないでしょうか。いずれ詳しく説明しますが、田舎物件の基本は現金取引です。さらに、若くてもSOHOで自立できる、明確な事業計画と自己資金がある、年金受給まであと数年、といった見通しのなければ、田舎暮らしを始めるのは危険です。都会は厳しいから田舎へ行けば何とかなるだろう、という甘い考えは通用しません。(Y)
次回は「田舎暮らしと自己責任について」というお話
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