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-あははおほほの田舎暮らしを始めるために-
No.2
2001年晩秋(11月19日)
本当の貧乏人に田舎暮らしはできるのか?
「都路フォトアルバム」でもご紹介していますが、阿武隈山系は今、紅葉がとてもきれいです。山々が赤や黄色で色づき、民家の漬け物作業とともに、冬の訪れが近いことを知らせています。ここに住む私たちでさえ、たまに車を停めて紅葉を眺めることがあります。植林の多い田舎と違って、阿武隈山系の晩秋は幻想的な風景に包まれるのです。
もちろん、紅葉で色づく雑木林は観賞するために存在しているわけではありません。シイタケ原木やパルプ材を出荷するために、農家が維持管理しているものです。それをほぼ20年サイクルで伐採していくのですが、その作業を「自然破壊だ」という都会の人がいます。私たちも自然環境を壊す施設の建設には反対ですが、伝統的な林業にまで文句を言うのは筋違いではないでしょうか。その背景には「田舎は自然があるところで経済行為とは無関係」という勝手な思いこみがあるようです。
この点については今後も触れていくつもりですが、田舎は経済性の低い地域だからまだまだ安い物件があるはずだ、と考える都会の人もいます。都会の不動産は最初から商品として存在していますが、ほとんどの田舎物件は農家の個人的理由で手放すもの。農村には地元相場というものがあり、その線に沿って値付けが行われます。バブル時代に比べると相場は下がっていますが、もともと過疎地ではバブルもなかったので、都会のように下落幅は大きくありません。首都圏から週末に通える範囲では、おそらく阿武隈山系がいちばん相場の低い地域ですが、ここより安い田舎はないかと探し歩く人もいるようです。
私たちは経済力のある人だけを相手に、村おこし事業をやろうと思っているわけではありません。できれば起業意欲のある若い移住者に来てもらいたい、という気持ちも持っています。
ただ、田舎暮らしを始めるには@物件購入などの初期資金A生活を維持するための手段がどうしても必要になります。今回は@に話を絞りますが、低予算の人ほど「私は本当の貧乏人だから何とかして」と妙なお願いをされたり、「土地が広くて家がきれいで・・・」と過度の要求を並べる傾向があるのです。たまに困りごと相談をされる方もいるのですが、私たちも民間業者なので、できることとできないことがあります。
資金が不足している人は、物件の欠点は自分たちの工夫で補おうという前向きな考え方、田舎ではこれで生活するんだという明確なビジョンがほしいのです。そのどちらもないとすれば、田舎暮らしを始めるのは適当でないと言わざるを得ません。
次回は「『リストラされたから田舎暮らし』は正しいか」というお話
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