No.1
2001年秋
田舎はのんびりなんかしていない
阿武隈山系の稲刈りも、いよいよ終盤です。今年は猛暑のあとに冷夏が続き、全面的に豊作とはなりませんでした。一部では反収5俵ということなので、例年より作況は悪いようです。それでもこの時期に食べる新米の味は格別です。味覚の秋は猿も出没して、仏壇の饅頭を食べると評判になっています。平和というべきでしょうね。
ただ、都会にいる昔の同僚Hに電話をすると、「お前は田舎でのんびりしていいなあ。こっちは不況で戦争だぞ。そんな自然の中で暮らしていて呆けないのか」と言います。実はHも密かに田舎暮らしを夢みているようなのですが、田舎=自然がいっぱい=のんびり、という図式でしかとらえていない彼には、おそらく田舎暮らしは無理でしょう。
田舎がのんびりしているなんてとんでもない話。
住むとその忙しさがすぐにわかります。都路村ではこの1カ月以内に学校清掃の奉仕活動、部落対抗の村民体育大会、牛肉フェスティバルなどがありました。11月初めには都路村文化祭も控えています。
ただ集まってガヤガヤするだけだろう、と思われるかもしれませんが、行事はその当日だけでなく、準備のための寄り合い、本番後の反省会などもあります。このほかに冠婚葬祭や個人的な集まりも加わるので、次から次へと行事が襲ってくる、という感じです。
もちろん仕事や畑の手入れもしなければならないので、退屈などしている暇はありません。
私たちのもとには都会の人から多くの要望が寄せられますが、正直、首を傾げる内容が少なくありません。おそらく田舎を都会の反動でしか見ていないためだと思われます。
この新コーナーでは、阿武隈山系で田舎暮らしを始めるための基礎知識を綴っていきます。最初の数回は田舎暮らしの基本的な考え方、その後は阿武隈山系における田舎物件の知識、村の生活、村のつきあい、地域紹介etc.とテーマを変えていく予定です。田舎のテンポでやらせてもらいますが、都会の人に田舎暮らしのいい面だけでなく、厳しいメッセージも発信していくつもりです。ご期待ください。(Y)
次回は「本当の貧乏人に田舎暮らしはできるのか?」というお話
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