人気の雑木「クヌギ」
樹皮がゴツゴツしているクヌギ。ブナ科コナラ属の雑木です。
コナラとともに都会人に人気が高いクヌギ。といっても素人には判断が難しく、見間違えることも多いのですが、ポイントは樹皮。クヌギの方が不規則に割れてゴツゴツしており、グランドキャニオンのように谷と山でできています。その皮をむくと、表皮と材の間にアマカワが現れます。コナラの場合は繊維質で縦に筋が通っているのに対し、クヌギはバラバラになる感じ。シイタケ原木になるという点では共通していますが、原木の芯はコナラよりも小さなものが多く、シイタケ菌の伸長速度が遅いという特徴があります。ちょっと専門的なので、やはり樹皮で判断するのがいいでしょう。
葉は濃い緑で細長い楕円形です。
樹皮以外の部分はどうでしょう。葉は細長い楕円形で、縁に針のような鋸歯があります。これとよく似ているのがアベマキの葉ですが、裏に白い毛があるのがアベマキ、緑だけがクヌギと見分けは容易です。ちなみに、クヌギの名前の由来はクリニギで、「栗によく似た葉を付ける」というところからきています。ドングリの実が成る木はコナラ、ミズナラ、シイカシ、マテバイシ、カシワ、クヌギなどがあります。やはりコナラとクヌギは似ているわけですが、コナラは実が小さくお椀のうろこ模様が細かいのに対し、クヌギは実が丸くて大きくお椀にトゲトゲがあるのが特徴です。
このドングリはお椀にトゲがないので、コナラでしょう。
クヌギは岩手、山形以南、四国、九州まで見られる落葉高木で、高さ15〜17mくらいにまで成長。阿武隈山系でもたまに太い木を目にすることがあります。「コナラ」でも説明しましたが、いわゆる雑木林は薪やシイタケ原木を得るために人為的に植えられたもので、その後に20年サイクルの二次林を形成します。材は堅く、シイタケ原木だけでなく建築材や器具材として使われることもあります。雑木林が多い阿武隈山系でも、クヌギがある移住者の敷地は多くありません。ナチュラリストには価値のある樹木です。
|