サイクリングを気軽に楽しめるのが魅力。この奥にオートキャンプ場も
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高台から太平洋を一望できる楢葉町の「天神岬スポーツ公園」。ここには「阿武隈のとびら」NO.16で温泉・浴場の第2位に挙げた「しおかぜ荘」があり、海を見おろす露天風呂が人気です。屋内には展望ルームを兼ねたレストランも併設されており、お風呂と食事でリフレッシュするにはもってこいです。そこにつながっている「サイクリングターミナル」は文字どおり、自転車を貸してもらえるところ。ホテルやレストランも備えた本格的な施設です。その北側は20サイトのオートキャンプ場が整備され、近くにアイスクリームショップもあって家族連れに人気です。
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太平洋岸にあるスポーツ公園。子どもも大人も汗を流せる施設です
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スポーツ公園という名称ですから、これだけではありません。木戸川と海を見おろす高台に子どもの遊具施設を備えたアドベンチャー広場、その隣に広々とした芝生公園があり、子どもたちが駆け回っています。さらに立派なテニスコート場があり、サークルやペアで汗を流しています。そのほかに70サイトのフリーキャンプ場も備わっているのですから、アウトドア派には堪えられません。これらは楢葉町振興公社が運営しているものですが、財政難の他町村から見ると羨ましい限りでしょう。
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地形に注目。これが城の土塁の跡地です |
ところで、歴史好きの人はスポーツ公園の周辺にも注目してください。芝生公園の西側には天神山城跡があります。城主や築城年代は不明ですが、城の構造は戦国末期から近代初期のものとか。そこに1308年に勧進された北田神社が祀られています。現存する城跡は東西270m、南北160mにおよび、防衛上の外堀と思われる地形が残っています。さらに本丸を囲む土塁が何重にも巡らされており、近世でもきわめて貴重な遺跡となっています。ここは岩城氏と相馬氏の二大勢力に挟まれた地域であり、戦国武将が防衛の拠点として重視したことは確か。 |
土器棺の跡地。きれいに保存されています
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話はこれだけで終わりません。北田神社が所有する畑地で昭和37年に古代遺跡が見つかり、大規模な調査が実施されました。その結果、約2000年前の弥生時代の集団墓域群と判明。「天神原遺跡」として県指定史跡となり、さらに出土品は国指定の重要文化財になりました。調査面積3000平方mの範囲に土器棺24墓、土杭墓47墓、勾玉類85個などが発見されたのです。発掘の様子は現地の案内看板にも掲げられていますが、土杭墓は成人、土器棺には乳幼児を葬ったと見られています。現地からは1万年以上前の旧石器も出土しており、太古の昔から人間の営みが行われていました。海を望むこの高台地が、それだけ生活の拠点になりやすかったのでしょう。テニス・露天風呂から古代遺跡まで、実に幅広い楽しみを提供してくれる空間です。
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