「田村富士」とも呼ばれる片曽根山。きれいな山です
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船引町の南手にそびえる片曽根山。標高は719mとさほど高くありませんが、なだらかな山容が美しく、地元では「田村富士」の別名が付けられています。独立した山なので、初雪のときなどはまさに富士の趣。船引はもちろん、阿武隈山系を代表する名峰です。 それなら町から遠いんだろうと思われるかもしれませんが、中心部のすぐそばにあります。国道288号線から福祉センターの前の道を辿っていくと、そのまま車で山頂に着いてしまうのです。登山口は国道349号線の稲場・舘屋敷地区より車で7分ほどのところにあり、そこに車を停めることもできます(山頂までは歩いて20分ほど。山開きは5月後半)。どちらも気軽に楽しむことができる観光スポットです。ちなみに、山頂には広い駐車場やトイレが整備されており、本格的な登山というよりはハイキングに近いでしょう。
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山頂からの北側の眺め(右端が鎌倉岳)。ここまで車で行けるんです
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ここのご馳走は、何といっても山頂の展望台からの眺めです。北西には吾妻・安達太良連峰、北側には移ヶ岳や鎌倉岳、南には高柴山や日影山などを一望。まさに大パノラマです。テレビ局や携帯電話の通信施設が林立しているのは残念ですが、船引や郡山の市街地を見おろす絶景に誰もが満足するはず。風の強さが玉にきずですが、それを利用してパラグライダーも開催されています。また、山頂は芝生公園になっており、風のない日は家族でお弁当も悪くないでしょう。 |
岩に彫られた仏像。微笑ましくなります |
片曽根山の山頂付近には、もう1つの見どころがあります。山頂から50mほど下がった岩山に、三十三観音が彫られているのです。以前に紹介した「岩角山岩角寺」の仏画に比べると規模は小さいのですが、それにしても素朴な力作です。誰が彫ったか正式には定かでありませんが、案内看板によると江戸後期に麓に住んでいた辰治という男が病にかかり、それを治そうと観音様にすがって彫り上げたもの。二年の歳月をかけて念仏を唱えながら来る日も来る日も掘り続けたところ、病気がすっかり治ってしまったのだとか。その仏様は愛らしく、思わず微笑んでしまいます。 |
また、山頂付近の木には樹木名を記した札がかかっており、植物を覚えるにも適した場所。ウコギやイワガラミといった珍しいものもあります。買い物のついでに行ける場所なので、ぜひ家族で訪れたい名所です。 |
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樹木の案内看板。いい勉強になるかも |
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