当社のテリトリーは福島県東部の田村郡を中心に、双葉・相場・安達の各郡にまたがっています。このコーナーでは有名・無名を問わず、一見の価値がある見どころを紹介します。
【第6回】 三界万霊塔(常葉町)
国道288号を見下ろす位置にある常葉町の「三界万霊塔」
阿武隈山系には数多くの石神・石仏・石碑が現存しています。バリエーションが多いので、いずれ「都路フォトアルバム」で紹介するつもりですが、あの世で解脱できるように祈った六地蔵、馬の霊を慰めた馬頭観音などがその代表例。なかでもひときわ大きいのが常葉町にある「三界万霊塔」です。1816年に延べ1600人もの人夫によって建てられたもので、高さは台座から6m、幅1.8m、厚さ90cmもあります。
浅間山の大爆発を前触れとして始まった天明の大飢饉(1783〜7)では、当時の三春領内だけでも1500人もの農民が亡くなりました。石碑はその33回忌に領の中心に建立されたもの。三界とは食欲などの欲界、物質の世界を表す色界、欲も物もない無色界を指し、あらゆる生命を供養するという意味があるようです。
東北では冷害の被害が甚大で、その後に新潟などから数多くの民が阿武隈山系に流入して住み着きました。このころから人の出入りが盛んだったのです。「三界万霊塔」は阿武隈山系特有のものではありませんが、先人の霊を慰めながら五穀豊穣や家内安全を祈る当時の新住民の気持ちも込められていたのではないでしょうか。国道沿いの目立たぬ石碑ですが、この地域の人たちがよそ者に優しいといわれるルーツの一端が、この石碑にも表れているような気がします。
こちらは「馬」と書かれた都路村新町の馬頭尊。馬の労苦に感謝して霊を慰めたもの
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