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阿武隈山系の人たちがよく口にする素材とメニュー、その調理法を紹介するコーナーです。郷土色豊かな料理とともに、都会の人が調理しやすいメニューも取り上げていきます。
【第9回】葉ワサビのお浸し |
【今回の料理】葉ワサビのお浸し・・・・ツンとくる辛みが特徴です
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沢付きの土地は都会の人に人気がありますが、そこではいろんなものが栽培できます。葉ワサビもその1つで、冷涼な気候を好みます。阿武隈山系にはぴったりで、栽培方法もいたって簡単。大雨で流されないよう、沢のまわりに根茎を植え付ければOKです。ワサビは長い葉柄を持ち、葉は葵の形に似ています。ワサビを漢字で山葵と書くのはそこからきており、江戸時代にはすでにその字が使われていました。もともと渓流に生えていた山野草ですが、その後に水を離れて栽培できる「陸ワサビ」という別の品種が現れ、粉ワサビの原料として利用されています。 |
【今回の食材】葉ワサビ・・・・葉は葵。きれいな沢で育ちます |
葉ワサビは春先になると白い小さな花を咲かせ、見た目も実にきれい。もちろん、栽培の目的は食用ですが、ツンとした辛みは葉ワサビに含まれるシニグリンの組織が壊れてミロシナーゼという酵素と混じることで生まれます。お浸しといっても、湯がいたり茹でたりすると、すぐに辛み成分が消えてしまいます。調理法は簡単ですが、その点に注意しなければなりません。今回はいちばん簡単な塩味で食べる方法をご紹介しますが、醤油とお酒をかけてから密封する方法もあります。そのままご飯のおかずとして食べたり、お茶漬けにしていただきます。 |
■葉ワサビのお浸しの材料と道具
葉ワサビ30本くらい、塩少々、ザル、鍋、やかん、ビニール袋
■作り方
@葉ワサビを幅3cmくらいにザクザクと切って、ザルの中に入れる。その下に鍋を置く。
Aやかんにお湯を沸かし、@にお湯をかける。さらに、下に溜まった汁をもういちどザルにかける。
B次に、蛇口の冷たい水をかけてから、しっかりきっちり揉んで水を切る。
C塩をパラパラと振りかけて、ビニール袋に入れる。袋の上から10回くらい叩き、よく空気を抜いて冷蔵庫の中で保存する。
D30分後くらいから食べられるようになるが、数時間〜一夜おくと辛みが増す。 |
袋の上から叩くことで辛みが生まれてきます
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<カラシナの食べ方>
この地域ではカラシナも畑でよく作られています。ワサビと同じアブラナ科の多年草で、成分もよく似ていますが、食べ方は若干異なります。まず、お湯を沸かしたら80度くらいになるまで冷まします。そこにカラシナをさっと通します。お湯につけすぎると、辛みが逃げてしまいます。次に、水に入れてよく絞り、塩を振りかけます。それをビニール袋に入れて密封し、ヒモや輪ゴムでしばります。それを冷蔵庫で一夜保存すると出来上がり。適当な大きさに切って、お召し上がりください。
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左が葉ワサビ、右がカラシナです
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