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阿武隈山系の人たちがよく口にする素材とメニュー、その調理法を紹介するコーナーです。郷土色豊かな料理とともに、都会の人が調理しやすいメニューも取り上げていきます。
【第8回】どぶろく |

【今回の料理】どぶろく・・・・簡単にできる健康飲料です
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日本の農家は、大昔から自宅でどぶろくを造っていました。ところが、日清・日露戦争の時代に軍需費用を賄おうということで酒税法ができます。一定量・一定アルコール度数の酒を製造するには免許が必要とされ、密造者は5年以下の懲役または50万円以下の罰金、所持していただけでも1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられることになったのです。そんな厳しい法律ならみんな守ったのかといえば、実際は全国各地の農村で密かに造られていたのが真相です。というのも、どぶろくは簡単に造れるうえに、添加物を使わないため体に良く、お茶代わりや祝い事にも欠かせない生活に密着した飲み物だったからです。「東京さから来た人が美味えなあと喜んで持ち帰ったら、汽車の中でどぶが爆発してこらほど恥ずかしい思いしたごとねがったとよ」とか「山の中さ隠していたのにいつの間にかなくなっていたぞお」なんていう笑い話もあるくらいです。近年では岩手県などで「どぶろく特区」が認められましたが、酒税法そのものはまだ生きています。ただ、対象になるのはアルコール1%以上の場合で、海外で製造・飲用する場合は何%でもお咎めなし。早く法律が廃止になることも祈りつつ、レシピをご紹介します。 |
■どぶろく4升の材料
米2升(うち半分を餅米にするとまろやかになる。またはキビでも美味しいどぶろくができる)、麹2升、イースト菌(ドライイーストよりもパン屋などで売っている生イーストがいい)6〜10グラム、水10リットル。
※イースト菌はモトの代用品。モトは蒸した米と水と麹を混ぜ、自宅に住んでいる乳酸菌や酵母菌を取り込むものですが、発酵させるのに20日くらいかかります。イースト菌はその手間を省きます。
■必要な道具
蒸し器、30リットルの樽、ざる、一升瓶4本、ワラ |

【今回の素材】キビ・・・・雑穀の一種。どぶろくにすると粳米より美味です。
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■造り方
@水洗いした米を蒸す(蒸し器がない場合は炊飯器で2升の米に対し1升3合の目盛りの水で硬めに炊く)。
A炊きあがった米を樽に移し、冷たい水を注いで人肌の温度にする。
B細かく砕いた麹を入れ、イースト菌を加えて、よくかき混ぜる。
C蓋をしてラップし、炬燵などの暖かい場所におく。一日一回かき回すと発酵が早まるが、そのまま放置してもいい。
D3〜4日後にざるに移し、落ちてきた液体を瓶詰めする。密封すると爆発するので、瓶口を束ねたワラで塞ぐか、蓋に釘穴を空けておくといい。
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鮭の粕煮。寒い冬にぴったりの食べ物です。
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【副産物−酒粕】
ザルに残ったものが酒粕で、たんぱく質やビタミンBが豊富に含まれています。水と砂糖と塩少々を加えて甘酒もできますが、ここでは鮭の粕煮をご紹介します。
作り方はまず、鮭の切り身を水で煮ます。沸騰したら砂糖、醤油、七味唐辛子で味を調えます。そこに酒粕を加え、20分くらいコトコト煮れば出来上がり。酒粕の甘みが食欲をそそります。 |
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