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阿武隈山系の人たちがよく口にする素材とメニュー、その調理法を紹介するコーナーです。郷土色豊かな料理とともに、都会の人が調理しやすいメニューも取り上げていきます。
【第5回】干し柿 |
【今回の料理】干し柿・・・ラップして冷凍庫に入れると長期保存も可能です
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今年は柿の当たり年です。去年は1本の木に数個しかならない家もあったくらいですが、この秋はどの木も繭玉のようにたわわに実っています。鈴なりとは、まさにこのような状態を言うのでしょう。柿は日本原産で約1000種類もありますが(うち半数以上は渋柿)、この地方では会津原産のみしらず柿や富山柿などがよく見られます。甘柿はカラスの餌食になりやすいので、渋柿を渋抜きして食べるのが安全。渋の元はタンニンで、柿に異常呼吸をさせて水溶性の成分を不溶性に変えることで渋が抜けます。いちばん簡単なのは湯抜き法で、約40度のお湯に一昼夜つけます。九州では温泉を利用する地域もあるようですが、すぐ食べられる半面、日持ちが悪いという特徴があります。ドライアイス法は新聞紙などでくるんだドライアイスを柿と一緒に容器に入れて密封する方法で(30分後に一度ガス抜きが必要)、3〜5日くらいで渋が抜けます。 |
【今回の素材】柿・・・今年はたわわに実っています
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この地域で一般的なのはアルコール渋抜き。ブランデーを使うやり方もあるようですが、普通は35度の焼酎を使います。へたとへたを合わせて柿を容器に詰め込み、柿10kgにつき100cc程度の焼酎を振りかけ、密封して1週間ほどおきます(へたに焼酎を付けたり、柿を焼酎に付けてすぐ取り出す方法でもいい)。また、大量に実った柿は干し柿にするのが一般的。甘柿でもできますが、渋柿がいっぱい手に入ったら、ぜひお試しください。
■材料
柿、包丁または皮むき器、ビニールか麻の紐 |
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■作り方
@柿の実を取るときは、へたの先にある茎をTの字に残して切る。柿は肉厚のしっかりした物を使う。腐ったものは避ける。
Aへたの外側を手でむしり取り、そのまわりから包丁で皮をむいていく。皮が残ると見かけが悪くなるので、厚めにむくこと。また、皮むき器を使う場合はへたのまわりだけ包丁でむいてから縦むきするといい。
B紐の間に柿の枝を差し込む。柿は10cmほど間隔を開ける。枝が落ちてしまったものは竹串などに実を刺してもいい。
C風通しのいい軒下などでBを干す。雨が降ってきたら家の中に取り込み、温風ヒーターなどで乾かす(除湿器を使ってもいい)。
D表面が堅くなってきたら何度かもみほぐす。
E1カ月ほどしたら家に取り込み、冷暗所などで保存する。1個1個ラップに包んで冷凍庫で保存してもいい。 |
干し柿の作業風景。家族みんなでやればすぐにできます |
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軒下に干した柿。晩秋の風物詩です
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【副産物−柿の皮】
干し柿で残った柿の皮は、たくあんなどの漬け物を作るときに甘味付けとして利用できます。作り方は簡単。風通しのいいところでシートの上に皮を広げ、カリカリになるまで天日干しします。すぐ使わないときは湿気を吸わないよう、ポリエチレンの袋に入れて冷暗所で保存します。 |
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