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都路村は中通りの東端に位置しますが、古くから浜通りとの交流があり、言葉にもその影響が出ています。このコーナーでは、福島県の中・浜通りでよく使われる方言や慣用句を紹介していきます。
【第3回】
「めんげえ」「あました」「あやまった」
東北には「岩手めんこいテレビ」というユニークなテレビ局もありますが、東日本で「めんこい」は可愛いという意味で広く使われています。それに訛りが出て、福島東部では「めんげえ」「めんごい」「もんごい」などと表現します。普通は小さな子どもや動物などに使う言葉ですが、大人に対して可愛くないという意味で「めんごぐねえ」と使う場合もあります。
困ったときに出てくる言葉の1つに「あました」があります。語源は持て余したと思われますが、+名詞で「手に負えない○○だ」という意味。例えば、「あましたおなごだ」は「手に負えないほど困った女だ」となります。冗談でも使いますが、ややきつい言葉です。
「あました」に少しニュアンスが似ていて、やはり困ったときに使う言葉に「あやまった」があります。漢字で書けばもちろん「誤った」になりますが、自分の思っていたことが誤った、つまり「こんなはずではなかった」という意味です。実際は笑いながら使うことが多く、都会流に言えば「まいった」に近い言葉でしょう。
なお、時間の表現も年寄りは訛りが出やすく、昨夜はゆうべ=「ゆんべ」、一昨日は「おどでー」、一昨日は「さきおどでー」と言います。
以上を踏まえて、会話してみましょう。
「スミ子さんのあととり(=長男)、東京からけえってきたんだばい。賑やかになって、いがったなあ」
「なんもよぐねえ。ゆんべも区長さんげで大酒くらって、まだ起ぎてこねえんだよ。あました息子だあ」
「めんげえ猫もいんだなあ。東京から連れてきたんかあ」
「いや、そいつは野良だあ。息子が餌くれっから、わげの屋根裏さ住み着いて子をなして(生んで)よ。あやまったあ。こんなのまで食わしてらんねえどお」
屋根裏に親子の姿が。いやー、あやまったあ!
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