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都路林産開発
〒963−4701
福島県田村市都路町古道字芹が沢63−7
TEL0247−75−3333 
FAX0247−75−2808



 

 

第7回】中村隆司さん・美智子さんご夫妻の「野外炉」

---石を積み上げて作った団らんの場---

 


石造りの野外炉で焚き火を始めた中村さん。檜を埋めた木の床も雰囲気がいい

 
 
網を二重に被せるとバーベキュー炉に早変わり。平らな石がテーブルになる

 「北の国から」の黒板五郎さん(演・田中邦衛)は、畑からゴロゴロ出てくる石を見て、石の家を建てることを思いつく。不祥事を起こした息子をかばい、小屋用に買い貯めた丸太を手放した末の話である。その健気さ、家族愛が視聴者の心を打った。放映から10年の現在でも、たまに石の家を建てたいという都会人が都路にも訪ねてくるほどだ。しかし、きれいにカットした石材ならともかく、野山の丸石を積み上げる設計で確認申請が通るはずもない。ロケ地の「石の家」を寄贈された富良野市は補強の負担増で、200円の入場料を取っているくらいである。でも、自然の石を使うという発想は面白いし、家は無理でも小道具くらいにはなりそう。それを実行したのが、埼玉と都路を半々で暮らしている中村隆司さん。都路の前庭には縦100cm×横50cm×深さ35cm(内径)の野外炉が設けられており、その主材料が天然石なのだ。
「大きな石があったら何かに使えそうだと思ったんだけど、この敷地は石が少ないので埼玉から来るときに拾ってきたの。夏井とか大越とか川沿いの道を歩くと、手でようやく持てるくらいの石が見つかるんだよね。腰を痛めるからもう止めたけど、100個くらいは持ってきたかな。炉の作り方はまず大きな穴を掘って、底に石をおいていく。側面はコンクリートを塗りながら大阪城の石垣のように石を積み上げるんだけど、いちばん上はコップなどがおけるように平らな石を選んだ。竹串も挿せるように、テントのパイプをカットして石の間に埋め込んだの。こういうアイデアは作業中に思いつくんだよね」
石も活躍する中村家の池。4km上流の水源管理も自分でやっている
 石は御影石、花崗岩など種類も色も多彩で、見た目に楽しい。焚き火とバーベキューを目的にした野外炉ということなので、さっそく実演してもらった。乾燥した枝を燃やし、その上で炭に着火する。深さが充分あるので安全だが、そのままバーベキューの金網を被せると炭との距離がありすぎる。どうするのかと思ったら、石の中間くらいに網を挟んで熱い炭をおき、その上にきれいな網を載せた。つまり、網と網の間に炭をサンドイッチするのだ。「中村さん、炉の半分をバーベキュー専用にして、そこだけ底を高くすれば網が1枚で済むんでないの」と話したら、「それもいいね」とのことだった。2つの目的に使うには、多少の工夫が必要かもしれない。移住者仲間の平山健治さんも誘って、野外炉でご馳走にありつく。天気予報は晴れのち雨。ゴロゴロと雷が近づいてくるのだが、「こういうバーベキューも野趣があっていいね」と会話が弾んだ。


水路でワサビ栽培。沢水があればこその楽しみだ

 中村家の敷地は約1200坪あるのだが、平坦地がやや足りない。そこで、林業事務所に申請し、南接した国有林の一部を借りることができた。面積は約100坪だが、檜を伐採したところに花木を植える予定。その中心に野外炉を据えたのである。もっとも、石を最初に利用したのは、野外炉ではなく池だった。中村家には10匹くらいの川魚を飼える池があるのだが、流入した砂が底に溜まりやすく、大雨のときオーバーフローで魚が逃げてしまう。さらに、トンビや猫にも盗られた。その防止策として、池の縁に石をおいたのだ。
池の先の傾斜地には水路を設け、ワサビも栽培している。ただ水を放流すると一緒に流れてしまうので、水路に砂止めが必要。その役目も石が負っている。また、石だけでなく、木も上手く利用している。例えば、伐採した檜を長さ30cmほどにカットし、炉のまわりに何十本も埋めてウッドフロアーにしたり、地元で入手した建築廃材を横に並べてエントランスの歩道にしている。
 中村さんが都路に家を建てたのは91年8月。もう14年前になる。そのころからのおつきあいだが、中村さんの田舎暮らしにはユニークな特徴がいくつかあり、『田舎暮らしの本』や拙著『さんざん働いてきたから 定年後は夫婦で田舎暮らし』で紹介させてもらった。その第一の特徴は、限りなく定住に近いセカンドハウス利用ということ。保険会社の役員を辞めた3年前から月に2回・平均15日間程度の都路生活にシフトしているが、現役時代はほぼ毎週、埼玉から通っていた。夫人の美智子さんは埼玉で月に2、3日、仕事をしているため足がやや遠のいているが、中村家ほど忠実に週末利用を継続したケースはそうない。
敷地にはきれいな山野草がいっぱい。写真はレンゲショウマ

14年分の車代、ガソリン代、高速代を合わせれば、コスト負担だけでも1軒分になるはずだ。都路ではただのんびりしているわけではなく、建築当初は村おこしのメンバーとして共同で田んぼをやったり、広い畑も手がけていた。いまは春先に雑木林の遊歩道を整備したり、建物の外部塗装も自分でやる。庭や畑は計1反歩以上あり、自然の中でいつも体を動かしている。雨になれば風呂や窓の掃除も待っている。また、近くの地元農家・佐藤ハルさんとも長いつきあいで、お茶飲みを欠かさない。


遊び心で作った木のトナカイも微笑ましい

 第二の特徴は、この敷地が北斜面の雑木林であること。当時は南斜面の売地がなかったことも事実だが、中村さんはむしろ積極的にこの環境を評価した。「絵描きは北向きに家を建てる」という言葉を母親から聞いていたからだ。
「夕方になると電気を消して北側の山を眺めたりするんだけど、すごくきれいでね。こちらが夕焼けのときは、鎌倉岳の頂に陽が落ちる。また、雨のあとで快晴になると、年に数回は下に雲が広がって雲海のようになる。住んでからわかったことだけど、こういう風景は飽きないんだよね。でも、昔の仲間から『里に下りてこーい』なんてメールが来るから、ずっとここにいるわけにもいかないんだ(笑)」
 雑木林はカエデ中心で、サクラやブナも混ざっている。地面にはレンゲショウマやミズヒキソウなどの山野草が数多く自生しており、「東京では鉢植えで200円のギボウシも、うちでは雑草になりつつある」と微笑む。いつも手入れしているからこそ、この貴重な空間を保てるのだ。こう書くとナチュラリスト的で堅い印象を持たれたかもしれないが、実は中村さんは多彩な顔を持っている。酒こそ飲まないが、年に一度はラスベガスに出かけて運試し。今年の成果をメールで聞いたら、「例年のごとく惨敗」という返事がきた。ネットで株取引もやっており、「トータルで何とかプラス」というから大したものである。かと思えば、退職後から日本漢字能力検定に挑戦し、3級・準2級・2級・準1級をクリアー。残すは全国で約3000人しかいない1級のみとなった。その問題たるや「弑逆」「一入」を読んだり、「ワイセツ」「チャキチャキ」を漢字にしたり、凡人にはとうてい太刀打ちできない。大学の非常勤講師になれるくらいの資格なのだ。こんな難関に挑むくらいだから文系なのかと思いきや、大学は数学科出身だという。しかも、高校時代はアナウンサー志望で、NHKの放送コンテストにも入賞したというからややこしい。まあ、多芸多才という表現で逃げておこう。
「1級はいずれ取れるだろうから、次に何やるか考えているところなの。やることはいっぱいあるから、呆ける暇はないね。都路でも花木を植えなきゃならないし。ただ、定年後は有暇無金の生活を心がけている。時間はいくらでもあるわけだから、ケチケチ精神でいかないと。高速道路も渋滞する一部区間しか乗らないんだ」
 本人はケチケチでも、他人から見れば田舎暮らしの中身は実に豊か。天然石の野外炉がそれを象徴している。  


玄関の歩道。廃材利用も敷地利用の大きな特徴だ


「都路の方がやることが多い」と中村さん。右はほろ酔いの平山さん

 

 

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