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都路林産開発
〒963−4701
福島県田村市都路町古道字芹が沢63−7
TEL0247−75−3333 
FAX0247−75−2808



 

 


【第4回】浅田正文さん・真理子さんご夫妻さんの「石臼」

---雑穀を粉にする素朴かつ奥深き道具---


本日の主役、石臼。下のキャスター付きの木製台は手作りです

 浅田正文さんはサラリーマン時代、人工知能を開発していた理系のスペシャリスト。その人に頓珍漢な質問ばかりしたら失礼と、今回は出かける前に予習する。えーと、石臼は紀元前にできた道具で日本には1000年くらいあとに入ってきた、フムフム、2つの円盤状の石に溝が刻んであり石を回すことによって溝でものを粉砕していく、溝の模様は8分画と6分画 とあって副溝は上石も下石も反時計回りに進んでいった前方の主溝に平行になる(だから反時計方向に回す)、石臼は使っているうちに溝が摩耗してくるので専用の道具で目立てをしなければならないが茅葺きと同様に職人は激減しており・・・。ま、これくらいでいいか。


反時計回りにゆっくり回すのがコツ。根気の要る作業です

 さて、取材当日である。浅田さんは私を見るなり、「いや、メールでは石臼でいいと言ったんだけど、足踏み脱穀機とか唐箕(とうみ)は素晴らしいんだよね。小春日和の温かなときに作業すると最高」などとおっしゃる。でも、予習してきたから「石臼でいいですか」と無理にお願いする。まずは小麦粉作りからスタート。上石の穴から小麦の粒を入れて、心棒を反時計方向にゆっくり回す。上石と下石の隙間から粉が・・・あれれ、ほとんど粒のままじゃないの。正文さんは隙間から出てきた粒を再び穴に入れ、回し続ける。えー、本当にこれで粉になるんですかと聞いたら、「これをね、20回くらい繰り返すの。お椀1杯くらい粉にするのに2時間かかる。30分くらいだったらお客さんにやらせてもいいけど、さすがに2時間だとね。だから石臼はほとんど使っていないんだ」というではないか。
 ははあ、足踏み脱穀機や唐箕の話にすり替えたのはそのためか! でも、「石臼のメカニズムはすごいんだよ。山本さん、そんなことも知らないの」といじめられる心配はなくなったし、私としてはだんだん愉快になってきた。じゃあ次はそば粉にしましょう、ということで妻の真理子さんに交替。玄そばを穴から入れて心棒を回すと、そば殻と白い粉が出てきた。玄そばのままのものもあるけれど、小麦に比べればはるかに作業効率がいい。石臼は農協で4万円台で買ったそうだが、やや上石が軽そうなのでそば専用の石臼なのかもしれない。


溝の模様は切線主溝型。高度なメカニズムです

「私、一度だけそば粉にしたことあるのよ。でも、皮が入ると粉がジャリジャリになって美味しくない。皮が剥けるといいのにね。小麦粉にしてうどんを打ったこともあるけど、これだけ時間がかかると根負けしちゃって」
 そば殻を剥くには重い石臼を巧みに使うか製粉業者に頼むのが一般的だが、本で得た知識によると石臼で玄そばを粉にする場合は石臼で碾く→フルイにかける→石臼で碾く、を3回ほど繰り返すといいらしい(それで歩留まり75%程度。実は少し残る)。
左下の粉ができるまで約2時間。麦の糠に相当するグラハム粉(右下)は自家製パンへ。上はフルイ。
 石臼には手こずった浅田家だが、自給率はものすごく高い。大豆を30kg収穫し、味噌はもちろん、納豆、豆腐まで作っている。黒米も人に譲れるほど栽培しており、この日ご馳走になった自家製パンにはその糠も入っているのだとか。また、薪ストーブを24時間使っているが、薪も買わずに自給している。1町歩以上の広い山林があるとはいえ、これは移住者でも珍しい。浅田家は山の中にあるのだが、「今月はほとんど家を出なかったから、ガソリン代は節約したなあ。野菜も自分のところだけで自給できたよ」というから大したものである。


碾いた玄そばをフルイにかけて粉を分離させます


左は栄養価の高い黒米の糠とグラハム粉が入ったパン。右はマドレーヌ型で焼いたブラウニー

 正文さんは一昨年まで移住者として初めて村会議員を務めた人で、環境問題に関心が深い。実は当初、浅田家ではここしか実例がない風力発電機の取材を予定していた。コストは乗用車1台分は軽くかかったそうで、普通の電気代を20年分プラスしても追いつかない。あくまで無限のクリーンエネルギーを実践するための投資だ。ところが、その装置に2つの誤算が発生する。
「予想より音が大きかったの。それで改良型に取り替えてもらったんだけど、前のブルブルがシュッシュと静かな音になった。ところが、今度は電気が入りすぎて屋内のコントローラーが焦げ臭くなってね。火事になったら大変だから、業者が修理しにくるまで停めてあるんだ。これが各家庭に設置できればポールの設置工事など土木業者の人たちに新しい仕事の可能性も出てくるし、できれば再開したいと思っているんだよね」


これが都路では浅田家にしかない風力発電機。ポールの下には深さ2mもの生コンが。


風力発電のコントローラー。これが焦げては火事が心配です
 最後に、前々からの疑問をぶつける。
−−浅田さん、5年前に取材したとき108歳まで生きると言っていたのに、今年の年賀状には王寿の111歳(1十1のもじり)までと書いてあった。3歳延びたのはなぜ?
「まだまだ人生半分。こういう田舎で暮らせば時間の観念が変わるし、新しいこともできる。焦らないでゆっくり人生を楽しみましょう、ということ。3歳くらい延びてたっていいでしょう!」

 

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